下村敦史【情熱の砂を踏む女】レビュー

レビュー

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秋ちゃん
秋ちゃん

こんにちは。秋ちゃんです。
2022年4月、徳間書店から出版された下村敦史さんの【情熱の砂を踏む女】をレビューします。

【情熱の砂を踏む女】基本情報

  • タイトル:
    情熱の砂を踏む女(じょうねつのすなをふむおんな)
  • 著者:
    下村敦史(しもむら あつし)
  • 出版社:
    徳間書店
  • この著書が書かれた背景:
    【著者より】
    『著者、15年の情熱! ! 』のキャッチコピーどおり、この物語を世に出すまでに実に15年もの歳月が必要でした。
    舞台は情熱の国、スペイン。日本人闘牛士だった兄の死の真相を探るため、自らも闘牛界に飛び込み、圧倒的な男社会の中で様々な偏見の目に晒されながらも闘牛士を目指して奮闘する女性、新藤怜奈の人生を描いた作品です。
    15年の年月をかけ、「2022年」の今、ようやく納得できる作品に仕上がりました。
  • あらすじ:
    闘牛士になった兄が死んだ。演技で大技に挑んだ末の出来事だった。
    妹の怜奈は兄の死を悼むためにスペインへと向かう。だがそこで抱いたのは、兄がトラブルに巻き込まれていたのではという数々の疑念だった。
    なぜ、兄は無謀ともいえる大技に挑まなければならなかったのか。
    真相を探るうち、やがて怜奈は、闘牛の世界に魅入られていき――。
    著者が15年かけて綴った圧巻の闘牛ドラマミステリー。

    注:『この著書が書かれた背景』と『あらすじ』は、Amazonから引用

著者『下村敦史』さんについて

下村敦史さんは、1981年京都府生まれ。
2014年に『闇に香る嘘』で第60回江戸川乱歩賞を受賞してデビューしました。

その後、長編20作品を刊行し、『情熱の砂を踏む女』は21作品目になります。

デビュー作の『闇に香る嘘』は、中国残留孤児をテーマに書かれた作品で、数々のミステリランキングでも高い評価を受けました。

特に最後のどんでん返しにはとても驚かされ、ミステリーファンの私は、一気に下村敦史の世界に引きずり込まれました。

私は、その後出された彼の長編作品は、すべて読ませていただいています。

【情熱の砂を踏む女】物語の展開

物語の舞台は、上の基本情報の『この著書が書かれた背景』と『あらすじ』に書いてあるとおり、情熱の国スペイン。

日本人闘牛士になった兄(新藤大輔)が、スペインの闘牛場で不慮の死を遂げるところから物語は始まります。

兄の死を知った妹(新藤怜奈)は、単身スペインに。

スペインで兄について話を聞くうちに知った、兄の最後の言葉。

その言葉の真相をつかむべく、怜奈は闘牛士を目指します。

物語の背景

下村敦史さんの作品は、物語の背景や舞台について詳しく書かれたものが多く、この作品『情熱の砂を踏む女』も同様で、スペインの闘牛場で行われる闘牛と闘牛士について詳しく書かれています。

そのために、物語の展開スピードは遅くなり、テンポ良く読み進められるかといえば、答えはNOになります。

ですから、じっくりと時間をかけて読み進める必要があり、一晩で一気に読み切りたいという方にはオススメできません。

ただ、闘牛を見たことがない方や詳しく知らない方(私もその一人)が、今まで誤った知識で思い描いていた闘牛の世界は、まず間違いなく覆されます。

小説の巻末に『参考文献』が掲載されていますが、その数に驚くとともに、この作品にそそいだ下村敦史さんの情熱にも驚かされます。

【情熱の砂を踏む女】私の感想

スペインの闘牛に纏わる様々な背景や闘牛士など、詳しく深掘りされているので、これまで闘牛に関心の無かった私は、この作品で闘牛への理解と感心を深めることが出来ました。

また、物語の終盤で数々の謎が解き明かされていき、ミステリー小説としても楽しめますが、この小説は、日本人初の女性闘牛士を目指す女性を描いた作品と言った方が、しっくりくるかもしれません。

いずれにしても、下村敦史さんの作品のほとんど(すべてとは言いません)は、とてもレベルが高く読み応えは十分です。

最後に

『情熱の砂を踏む女』は、下村敦史さんが過去に出された小説とリンクする部分や登場人物の関連性などはなく、下村敦史作品を今まで読んだことのない方でも問題なく楽しめます

繰り返しになりますが

『情熱の砂を踏む女』は、ゆっくりじっくり時間をかけて読んでください。

事前に闘牛に関する動画を youtubeなどで見てから読み始めるのも良いかもしれません。

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